オール電化のツール
今後の経済発展と著しい人口増加が予想される発展途上国のCO2排出が削減できなければ、エネルギー消費のシェアが今後減少するとみられる先進諸国のみの努力では意味をもたないという議論も根強く存在する。
以上の状況を要約すると、@現在の温暖化の要因としてはきわめて安価に入手可能な化石燃料の燃焼からのCO2削減がきわめて重要である。
Aこれに対応する代替手段としては最終的にはCO2を発生しない太陽エネルギー利用か、原子力に移行せざるをえない。
しかしながら現在大規模、大量に消費されている化石燃料に代わるエネルギー源としては、少なくとも十分な供給量と経済的な競争力をもつ必要がある。
このうちバイオマスは理論的には供給量が存在するかにみえるが、効率が著しく低くコストも太刀打ちできないケースが多い。
また供給量でも農業との競合があって楽観できるものではない。
Bこれに加えて過去にCO2を大量に排出してきた先進諸国の責任論が存在する。
他方で発展途上国を含む長期的、かつ徹底的な削減が必要である。
C経済的なインセンティブがないところで発展途上国を巻き込むのは無理があり、いわゆる「飴と鞭」でその機運をつくることがきわめて重要であるという認識が強い。
気候変動に対する行動は進まない、なお地球規模気候変動の因果関係についてはすでに一九世紀から二酸化炭素の増加による温暖化の可能性は指摘されており、またエネルギー問題と絡んでは一九九四年のローマクラブ第二レポートの付録にも詳しく解説されていた。
これらの警告もその後生じたエネルギー危機に吹き飛ばされてあまり話題とならなかったが、トロントサミット以来世界的な関心事となった。
この時期、それでもまだ各国の思惑からその科学的根拠にいろいろと疑問の声も上がっていたが、八八年以来IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が学術論文などを中心とした科学的根拠に基づいた検討を行い、しかも各国の政府代表参加の総会でその結論をコンセンサスベースで承認するという手順をとって、気候変動のメカニズム、さらに対応策などを調査要約したレポートをまとめてきた。
温暖化防止のむずかしさその後、九二年のリオサミットとこれに続く気候変動枠組み条約(FCCC)などで世界各国が本格的にこの問題に対処する方向で意見の一致をみたことは記憶に新しい。
九五年に出たIPCC第二次レポート(SAR)は、このようなCO2排出と温暖化のメカニズムを現実の事象と理論的モデルの整合性から説明し、これに対する各種の適応策、CO2削減策などのメニューを詳細に示した。
さらにこのような気候変動が社会経済的にどのように影響し、どのような政策手段が可能であるかを議論しているが、これは明確なガイドを与えるものではなく、考え方や可能な手段のメニューを示した段階にとどまっている。
このレポート以後、気候変動そのものに対する疑問、あるいは議論はほぼ終局したが、先進国聞ですら具体的な行動をとる段階には遠く至らないのが現状であろう。
他方で、枠組み条約の方はベルリンマンデートなど少なくとも先進諸国の排出量削減については議論を進めて、九七年の京都総会(C0P3)ではその削減目標を具体的に決定する段階にまで至っている。
この段階で少なくとも先進諸国の間では具体的な削減努力、政策など具体的行動を議論する段階に達したと考えられるが、その一方で、発展途上国の参加を求める要求も強くなってきている。
上記のように将来の人口増加、経済成長、現在の所得、エネルギー消費の国際格差を考えると、将来は現在の発展途上国からのCO2が増加することは明らかであり、ここで無制限の排出を認めれば、先進国の多少の削減はまったく無意味な結果に終わることもまた明らかである。
さらに最近の議論では経済的効率を追求するために先進諸国と発展途上国間の共同実施等といった総合的な削減策も同時に認める方向にあり、そのためにも発展途上国を含んだ全地球規模の削減政策の確立が不可欠という認識も強くなっている。
このような状況を反映して最近のIPCCでは具体的行動をとるための政策、経済的手段に重点をおいた議論と、いかにして発展途上国にその行動に参画してもらうかというインセンティブを与える手段に特化した議論が多くなっている。
特に気候変動の影響、被害を明確にしてその深刻さを明らかにすることで第三者的な傍観の立場をとる、「付属書I締約国」以外の諸国の注意を喚起したいという意図も見受けられる。
この場合には影響が地域によってかなり異なること、また対策のオプション、適性なども経済的な水準、現存の技術、システムなどによって大きく異なることから地域による差違を考慮することが重要であるという認識が広まっている。
この地域条件の把握は気候変動の影響や適応力、適当な対応策の差違ばかりでなく、CDMJI、AIJなど地域の経済、技術、あるいは自然条件の差違を考慮した、より有効な全地球的に統合した対策を考えるうえでも重要なファクターであって、これらすべてを考慮した議論に移ろうというのが現在のIPCCの立場とみられる。
第二次報告書の頃から温暖化防止のむずかしさFCCCがその理論的、あるいは中立的意見の場としてIPCCを用いる傾向が強まっており、これはまたIPCC内部の現実的対応、すなわち現実の行動をとらなければ意味がないばかりでなく、時宜を逸するという危慎の念がこのような協力というか補完関係醸成に拍車をかけたものといえる。
第二次レポートの完了を機にIPCCの議長が替わったこともこの傾向をさらに加速する方向に働くものと推定される。
世界各地域のエネルギー消費このような状況と対応の可能性を理解するため、まず現在のエネルギー消費の実態を概観する。
エネルギー源そのものは技術の進歩につれて、・石炭から、石油、さらに天然ガスと、取り扱いはやや面倒であるが炭素分も少なく、不純物もより少ないクリーンなエネルギーのシェアが増えつつある様子を一示す。
他方で世界的には石炭が依然中心的燃料であって、賦存量からも長期的には石炭に依存せざるを得ないと考えられている。
問題はその急速なエネルギー消費の伸びであるが、それと同時に前述の先後進国問題をはじめとする地域格差も大きな問題である。
国ごとでは細かくなりすぎてわかりにくいので、適否は別として大陸別(日本は別掲)にまとめている。
なおこの図は上から所得水準の高い地方、国をとっている。
この絶対量からでも人口とその他の指標の格差はよく示されており、巨大な人口を抱えるアジアとその他の発展途上国のGDP、CO2排出が相対的に少ないことがよく示されている。
エネルギー消費はほぼ比例関係にあるが、日本・ヨーロッパなどは他の地域に比べて比較的エネルギー消費が少ないことが一示される。
また人口密度が極端に高い日本、ヨーロッパは別として発展途上国のなかでは生産性の高い米作農耕に依存するアジアの人口密度がきわめて高く、その経済成長、したがってエネルギー消費の伸びは今後大きな問題となる可能性が高い。
一般にCO2排出を比較するとき、国ごとの絶対量、あるいはその変化量で議論されることも多いが、格差を議論するときに国単位の議論はきわめてあいまいであって、物理的な基準としては一人当たりがより明確である。
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